No.1610「正しく噛む習慣をつける」
- 院長コラム
顎の関節がおかしい、口を大きく開けると痛い、顎がカタカタ鳴る、顎が痛くてあくびができない、首や肩のコリ、耳の調子の悪さ・・・。これらは、顎関節症の特徴的な症状です。
頭痛や腹痛の原因がさまざまなように、顎関節症の原因もさまざまです。たとえば、
①顎の使い方が悪かったり虫歯や歯周病によって、左右でしっかり噛めない。
②歯並びや上下の歯の噛み合わせが悪い。
③歯ぎしりや硬いものばかり食べることによる筋肉疲労。
④生まれつき関節の形に問題がある。
⑤事故や打撲。
また、ストレスや体の不調などが影響していることもあるようですが、はっきり解明されていない部分もあります。
治療法は原因によって異なるので、精密検査が必要です。
治療法には、噛み合わせの調整、スプリント装置を口に入れる、薬物投与(鎮痛剤や筋弛緩剤)、理学療法(湿布や電気刺激など)などがあり、心身医学的な治療が必要になることもあります。
顎関節症は慢性の疾患ですから、治療は即効的なものはなく、治療期間が長引くことが多いので、あせらず根気よく治療することが大切です。
顎関節症と勘違いする慢性関節リウマチや耳下腺炎、三叉神経痛など、紛らわしい病気もあるので、自己診断は禁物です。
日本の子どもは欧米に比べ顎関節症が少なかったのですが、年々増加の傾向にあります。軟らかいものを好んで食べることが、顎の筋肉を弱くしているのではないかとも推測されています。
小さいときからしっかり噛む習慣をつけることが、顎関節症の予防にもなります。テレビを見ながら正面を向かずに食べたり、唇を閉じないで行儀悪く食べることは、悪い噛み合わせをつくる原因になります。
普段から正しい姿勢でしっかりと噛む、そして、お口の健康に気を配ることを家族で心がけましょう。