No.1511 「一流選手の条件は歯がいいこと スポーツと歯」
- 院長コラム
人間は、食べものや水などを飲みこむ時、口を閉じて上下の歯を接触させて下のあごを固定しています。口を開けたままでは、嚥下することは非常に困難なはずです。それらの生理的な運動をする時ばかりではなく、瞬発的に力を発揮しなければならない時には、口を閉じてしっかり奥歯を噛みしめます。それでないと、強い力は発揮できません。「歯をくいしばる」という言葉はここからきています。
スポーツ選手にとって歯は命です。一流選手ほど、歯にかかってくる負担は相当なものです。歯への力のかかり具合(咬合力、咬合圧)は、スポーツ選手の種類と内容によって異なりますが、瞬間に筋肉の力を最大限に発揮することを要求されるスポーツにおいては、その依存度は顕著です。たとえば、相撲の力士によって、立ち合いのぶつかり合い、瞬間の勝負どころでの混信の力をふりしぼっての攻防は、見ていても思わず手に汗をにぎってしまいます。
奥歯を噛みしめた時の咬合圧は、平均50~70kgですが、力士では100kgを越えているでしょう。体を接触させる機会の多い激しいスポーツは、歯が折れたり、口の中が傷ついたり、あごや顔面に損傷を受ける危険性があり、スポーツ事故を防止するために、マウスピース(マウスガード、プロテクター)を上あごの歯列に装着することが推奨されています。アメリカンフットボール、ボクシング、空手は、義務化されていますが、ラグビー、サッカー、バスケットなども装着したほうがよさそうです。市販のものと、カスタムメイドのものがあり、もちろん、カスタムメイドの方が、装着時の違和感は少ないです。これは、歯科医院で制作してもらうことができます。