No.1501「呼吸の仕方と歯ならびの関係 口呼吸のリスク」
- 院長コラム
ほ乳類は一般に鼻で呼吸をします。人も激しい運動で酸素が足りなくなったときなどに口の助けを借りますが、本来は鼻で呼吸する動物です。ところが、最近、習慣的に口で呼吸する子どもたちが目立ってきました。
この口で呼吸する習慣が、歯ならびが悪くなる一つの要因ではないかといわれています。すなわち、口で呼吸をする習慣が、口を閉じても骨格的に上下の前歯が閉じない状態(骨格的開口)や、上あごの縮み(狭窄)まどの歯ならびを悪くする環境をつくっている、と考えられています。
その習慣だけが原因であるかどうかはまだ不明ですが、このような特徴的な顔立ちは、ロングフェース症候群あるいはアデノイド顔貌と呼ばれています。口で息をしつづけるためには、下あごを下げ、下を前下方へ位置させ、頭を後ろに傾けることになります。
口による呼吸法がゆがんだ姿勢をつくり、このゆがんだ姿勢が成長過程で、特有の顔かたちをつくってしまうのでしょう。
口呼吸を続けていると、口のなかのある部分はつねに乾いている状態になります。このため口呼吸は悪い歯ならびのみならず、歯肉の炎症の原因にも、むし歯のリスクにもなります。喉の感染症にもかかりやすくなりますので、もしも口呼吸の習慣があるなら、意識して口を閉じ、鼻で息をするようにしましょう。そのわずかな努力で、歯ならびがよくなるかもしれません。