Vol.30 「むし歯の痛み ~あなたのむし歯はどの程度?~」
- 院長コラム
むし歯の程度により、痛みにも違いがあります。その症状と痛みの程度についてどんな違いがあるのでしょうか?
■第一度(C1)エナメル質を溶かす
虫歯が歯の表面のエナメル質に限局している場合は、ほとんど痛みは感じません。
歯の表面や歯と歯の隣接面がわずかに白く濁っている程度です。
これは、ミュータンス菌(むし歯の代表的細菌)という細菌が酸を出して、表層のエナメル質をわずかに溶解しているのです。この初期症状の頃は歯科医院への受診でC0またはC1程度のむし歯といわれ、物を食べたときに冷たいものがややしみるくらいで少し違和感が感じられる程度です。
■第ニ度(C2)象牙質に至り歯がしみる
ややしみるという状態を放置しておくと、歯のエナメル質から象牙質へむし歯は進行します。
症状としては、冷たいものを食べたり飲んだりしたときに強く痛みを感じるようになります。
また、隣接面のむし歯では食物が歯と歯の間にはさまるようになります。この程度になると自覚症状もかなり進み、歯がしみるようになります。C2と診断される状態です。
■第三度(C3)神経が感染しズキンズキンとした痛み
C2の状態をさらに放置しておくと、むし歯は歯髄(神経)にまで達します。この状態では、冷たいものより暖かいものに反応が敏感になります。歯髄が可能してくるために、お風呂などに入って温まると、ズキンズキンと拍動性の痛みが起こります。
この時期では、冷たいものを口に含んだり、冷たいタオルで冷やしたりすると、痛みが一時的に収まります。夜、布団に入って温まったり、アルコールなどで血行がよくなると痛みだすことが多く、この場合は炎症が歯髄に波及しているので、神経を取らなければなりません。
C3と診断される場合で、歯髄を摘出して治療すれば歯の痛みは収まります。しかし残念なことに、歯に栄養を与える血管や神経まで取ってしまうために、木に例えれば枯木のような状態になります。歯自体ももろくなり、折れてしまう恐れもあります。
■第四度(C4)抜歯→咬合異常顎関節症
C3の状態をさらに放置しておくと、歯の表面が欠けてしまい、根のみが残る状態になります。痛みはそれほどでなくて、慢性化し、膿がでて、その血液や膿を知らず知らずのうちに飲んでいることがあります。
この場合には、歯を残す確率はきわめて低く、抜歯をすることになります。
一本の歯を失うとは全体のバランスをくずし、噛み合わせを悪くし、噛み合わせの乱れや顎の関節の病気になることがあります。また、歯周病にもかかりやすくなります。