Vol.10 「虫歯に自然治療はあるのでしょうか?」
- 院長コラム
皮膚の傷はいつか治りますが、虫歯が自然に治ったという話はあまり聞きません。
虫歯には自然治療はないのでしょうか?
一度むしばまれた歯のエナメル質や象牙質などが、爪が生えるように再生してくるものなら、歯科医院はいらなくなります。
むしばまれた歯は、残念ながら放っておいたら確実に溶けてなくなっていくのです。
しかし、ひとつだけ例外があります。
比較的最近になってわかってきたことですが、虫歯の初期のCO(シーオーと読みます)の虫歯なら、削ったりしなくても治ることがあるというのです。
ただしこれは、あくまで虫歯がまだ歯の表面のエナメル質だけに留まっていて、外から見ると、淡い白斑が見える程度の虫歯に限られます。
また、自然治癒というのは、放っておいても治る、という意味ではありません。
なんの努力もせずに放っておけば、いくらCOの虫歯でも確実に悪くなっていきます。
まず歯医者さんにみせて、自然治癒が可能かどうかの判断をしてもらいます。
歯科医は、単に虫歯のようすだけでなく、その人の年齢や体質などさまざまな要素を総合的に判断します。
そのときに、大切なのは、その人がどれだけていねいに歯を磨く習慣をもっているか、ということです。
歯磨きをいいかげんにする人には、この方法は向きません。
自然治癒の方法でやってみようということになったら、まず歯科医院で歯垢や歯石をよく取り除いてもらい、歯磨きの指導を受け、毎日きちんと歯磨きを実行します。
ケーキやアイスクリームなどの甘いものもなるべく食べないようにします。
そして定期的に歯科医院でチェックしてもらいます。
これだけのことを実行してはじめて、虫歯の自然治療が可能になります。
自然治療を助けるために、歯科医の判断で歯の表面にフッ素を塗ることもあるでしょう。
とにかく、これは患者さんと歯科医院がきっちり連携して、根気よくやらねばならない作業です。
うまくいけば、数か月から1,2年ののちには、虫歯はみごとに治っているでしょう。